おらの細道 華道編
『おらの細道』華道編
令和7年(2025年) 8月23日(土) 華道編 1 竜胆
処暑、二十四節季の一つ。歳時記によると、8月の下旬、今まで苦しめられて来た極暑のようやく衰えるのをいう、と書かれている。今日がその処暑に当たる。処暑の処には「落ち着く」という意味がある。「暑さが落ち着いてくる頃」という意味であろう。しかし日中はまだまだ厳しさが暑い?暑さが厳しい。
竜胆、皆さん、この読み方は何?俳句では秋の季語。答えは「りんどう」。
今日は4年前から習い始めた池坊華道の日。今日は5本の竜胆を使って生花の一種生に挑戦した。竜胆の濃い藍色は本当に素敵だ。これを生かしたいと考えたのだ。
「おらの細道」は記録性もあるので、以下専門用語を使うが許してほしい。
池坊華道には、花形の基本として真(しん)副(そえ)体(たい)がある。真は中心にある上へ直ぐに立ち伸びる性を持っている。副は真の曲がりに添って伸びながら後方へ振り出し、花形に奥行きと動きを与える。体は一瓶のもっとも下にある部分で真より少し前方へ低く挿す。まあ、こういう基本形があるのだ。5本の枝は、真1、副1、真の前あしらい1、この3つが陽方。真の後ろあしらい1,体1、この2本が陰方となる。高さは、真正面から見て、真の3分の2に副、3分の1に体が来るように生けるとよい。余計な葉や花は取る。副は握り拳二つ分ほど、真は一握り半程度、体は一握り。
なんのこっちゃ?
言われていることは分かるのだが、分かると出来るは違うのだ。先生にアドバイスをもらいながらなんとか生けた。(写真)
俳句も生け花も引き算の文化だ。いかに省くかが勝負の分かれ目だ。
摘み取った竜胆の下部の花は、持ち帰ってお猪口に生けてやった。皆さん、作品の出来栄えどうですか?
8月30日(土) 華道編 2 竜胆 2
今日は、竜胆を使った自由花に挑戦した。他の花材は、ユーカリ、吾亦紅(われもこう)、小菊黄・白・赤、そしてフトイ(細いけど、笑)。花材選びには大変気を遣う。上をふわふわっと揺らして、下はメインの竜胆を生け、竜胆に寄り添うように小菊で足元を締める。構想は出来た。しかし、ビジョンは描けても思うように生けられないのがおらじゃ。
池坊の自由花練習用の直方体の指定花器は出払っていたので、楕円形の水色の花器を使った。まずユーカリを生け次に吾亦紅を生けた。なかなかいい感じだ。そして、竜胆とその周りに小菊を生けた。まずまずだ。日本文化は引き算の文化だ。さあ、ここから引くのだ。ユーカリと吾亦紅を見て重なり合っている所の葉を取った。風が吹くと、ユーカリの丸い葉っぱが揺れてかわいい。
しかし、空間が決まらない。奥行きも何を生けたらいいのか分からず悩んでいた。そこへ先生がとなりのMさんに声をかけた。
「Mさん、これちょっとちょうだい。」
先生が手にしたのは2本のフトイだった。
「この2本のフトイをこの空間にこのようにして生けたらどう?」
そうすると空間が見事に締まった。いい感じなのである。初秋の秋の風を感じさせる作品となった。水色の花器も涼しげな感じを与える。ナイスチョイスだった。自画自賛。自己満足。自己陶酔。
写真がその作品である。満足度の高い作品となった。皆さん、いかがでしょうか。
生け終わったら、ちょっとした撮影会となる。教室となっている花屋の一角をお借りしてスマホで写真を撮るのだが、時に花屋のコンセントや商品が写る。また日差しが差し込んで光る。良し悪しの一角じゃ。まあ、皆さん、雰囲気を感じとってくださいね。
9月6日(土) 華道編 3 ツルウメモドキ
家庭菜園で大根の種を蒔いたり、分葱を植えたりした後、池坊の教室に行った。
今日は、ブラシノキと黄色いカーネーションと鶏頭のセットが660円と安かったのでこれを使うことにした。さあ、この花材と何を組み合わせるか考えるのが悩むところでもあり楽しいところでもある。まず、黄色のカーネーションがあるので、濃い藍色をした竜胆を一本とツルウメモドキを使う自由花に挑戦することにした。
ブラシノキは、読んで字のごとく、ビンを洗うブラシに似た花を咲かせる。本当に赤ブラシである。和名は金宝樹(きんぽうじゅ)。夏の季語。
ツルウメモドキは、つる性の枝に丸い実をつけ、黄緑色の実は熟すと黄色味を増し、やがて三つにはじけて朱色の種子が顔を出すのである。とにかくこのつる性の枝が面白いのである。このつるの形を生かした生け方を心掛けた。ツルウメモドキは秋の季語。
中にユニークな形をしたつるがあった。右から左へ流そうと思ったが、そのつるの形と葉を見ていると、左から右へ流す方がよいと考えた。そして、その下にブラシノキ、カーネーション、鶏頭をマッス(一つのかたまり)にして締めた。
しかし、今少し空間を生かしたいと考え、もう一本ツルウメモドキのつるを使うことにした。おらは悩んだが、マッスにした花を囲むようにつるを矯(た)めて前方から後方へつるを流した。しかし、先生はそのつるを後方へは持って行かず前方へ流したのだった。その方が、ツルウメモドキが一本で繋がっているように見えて落ち着いて見えるから不思議だ。その作品が写真だ。今回も自己満足できる作品となった。自宅で同じように生けられるか不安もあるが、楽しく生けることが大切なのだと自分に言い聞かせた。
皆さん、どうでしょう?かっこよく見えますか?
9月14日(日) 華道編 4 モンステラ
華道の教室となっている花屋に、無料のビワの葉とシオンが残っていると聞きこれを使うことにした。これに660円のセット花の小菊(白黄紫)とモンステラを使って生けることにした。花器は池坊の指定花器を使い、白色の丸い半円を生かすことにした。
モンステラは葉先より割れていくと思っていたのだが、よく見ると葉の中より穴が開き葉先へ穴が広がっていくのだと初めて知った。そのモンステラの葉の穴から何かの花を出したいと思った。またモンステラを傘のようにできればと思ったのである。遊び心である。
先ず、ビワの葉とモンステラを生けた。そして、シオンを五七三の割合になるように生けた(つもり)。そして、小菊やシオンで締めることにした。そこそこ自分ではうまく出来たかなと思ったのであるが・・・。
それを見て、先生はモンステラの高さを低くしたのだ。傘のようではなく、花器の白い丸と連続するようにモンステラを生けたのである。そして、おらが生けていた以上に、中心部を黄色い小菊で締めたのである。恐れ入り谷の鬼子母神、とても納得のいく生け方に変わったのでおらもびっくりである。写真がないと分かりませんよね。写真削除してしまいました~、ごめんよ~、ごめんよ~。
おら自身は、ビワの葉とシオンをうまく生かせるか不安だったのだが、やってみると面白く生かせたと思う。また、モンステラを低く生けることも勉強になった。シオンはちょうど秋のお彼岸にむけて咲く花だ。少し開きすぎているかなと思ったがうまく生かすことができたかなと思う。
花に向かっているときは本当に楽しい時間だ。他の女性よりも少し時間はかかっているけれど(全く男はおら一人なのだ)まったく問題ない。花を生ける時間を楽しんでいる。
皆さん、華道どうですか?
池坊やってみませんか?
一輪の花を生けてみませんか?
9月30日(火) 華道編 5 立花 鶏頭
9月24日、池坊の脇教授3級に昇進した。この脇教授3級となり「華道家元池坊いけばな教授門標」を取得すると、生花(しょうか)と自由花の指導資格が得られるとあるが、おらが指導なんておこがましい。その気はない。華道を習い始めて4年、その間休んでいた時期もあるので、この脇教授3級の昇進は早いと思っている。多分、老い先短いから早くに取らせてあげようという温かい配慮があるのではないかと見ている。知らんけど。
とにかく、この度の昇進で立花(りっか)が習えるのだ。今日がその第一日目なのだ。なお、立花とは室町時代に成立したもっとも古い様式で、多種多様な草木により大自然の風景を表現する生け方のこと、らしい。よう分からんが。
立花には、真、正真(しょうしん)、副(そえ)、請(うけ)、見越(みこし)、流枝(ながし)、控枝(ひかえ)、胴(どう)、前置(まえおき)の9つの役枝がある。今回使用する花材は、真と請と控枝に鶏頭、副と見越と流枝にオクロレウカ、正真に竜胆、胴にメリー、前置にゴッドを使用。分かりませんよね。
まあ、これらの役枝にワイヤーをぐるぐる巻くわ、フローラテープを巻くわ、茎の中にワイヤーを通すわ、葉っぱの中心まで伸ばしたワイヤーをサージカルテープで止めるわ、そしてそれらを45~90度に曲げるわ、これが華道かい、と思うような作業を3時間やって午後5時前にやっと終わりました。もうへとへとやった。
その作品が写真です。充実感より疲労感の方が先に立ち、今一歩の出来栄えやなあと思っている。しかし、初めての立花の作品なので大目に見てね。
一人でも、おお割合きれいにできてるやないか、と思って下さればおら大満足だ!
皆さん、池坊やってみませんか?
10月1日(水) 華道編 6 ベニアオイ
9月27日(土)、池坊の自由花の指定花器を使った生け花に挑戦。9月14日(日)の白露編の「生け花編4白菊」で生けたように、モンステラを使用し指定花器の半円を生かした生け花を目指した。
モンステラという植物は面白いね。おら葉先から葉が割けてくるとばかり考えていたが、違うんだな、葉の中央に穴が開いてから葉の先へ割けていくんだな。自然って本当に不思議だ。モンステラの画像で見てみてね。
当初、モンステラの切れ込みからベニアオイを3本ほど直立させ、色合いをかんがえて竜胆と黄色い菊をあしらうように構想を立てた。こじんまりとまとめるつもりでいた。
しかし、先生は、「これはこれでいいけれど、もっと大きく大胆に生けなさい」と言う。先生は、直立させていたベニアオイ2本を取り、代わりにベニアオイの太い茎の部分を生けたのである。指定花器の白い丸を生かしたのである。さらには、もう一本柳をとり丸に沿わせるように生けたのである。見る間に花はダイナミックな生け花に変わった。写真参照。
面白いものである。ほんの1本を足したり引いたり、ほんの一枚を取ったり、ほんの数ミリ動かすだけで花が生きてくるのである。おらの美意識が高まっていくのが分かる。昨日書いたように脇教授3級に昇進したおら、もう少し頑張ってみるか。
先日の新聞で知った。ブラジルで9月23日が「生け花の日」に制定されたというのだ。「生け花」はそのまま「IKEBANA」。すごいね。嬉しいニュースだった。ウクライナやガザで「IKEBANA」が広まるといいな。
この日、花材の代金はちょうど1000円だった!嬉しい!セレンディピティ!
10月12日(日) 華道編 7 竜胆 ガーベラ カンガルーポー
昨日11日は、句会が終わってから華道教室にも行った。
面白そうな花材があった。名前を聞いたらカンガルーポー。名前からしてユニークだ。小さな黄色い花が付いている。その黄色い花だけを見るとバナナに似ている。このカンガルーポーを使うことにした。
カンガルーポーはオーストラリア原産の花。湾曲した筒状の花をオーストラリアの代表的な動物のカンガルーの前足になぞらえて名前が付いたそうだ。ポーは「かぎ爪のある足」という意味。最近日本でも切り花や鉢植えなどに人気が高まっているそうである。とても親しみのある名前やね。一回で覚えてしまう、カンガルー、ポー!
さて、カンガルーポーの花は黄色だから青い色の花を取り合わせることにした。見ると、やっぱり竜胆の青に目がいくのだ。この時期の竜胆の青は本当に色が深くてまさに秋を感じさせる花だ。濃竜胆(こりんどう)という名称もついている。これで二つは決まった。
花器は池坊の指定花器。いつもは丸い図柄を選んで生けていたけれど、今回は三角形の図柄を生かした生け花に挑戦することにした。
三角形の直線を生かす直線的な枝が欲しいと思い探すと、赤芽柳の枝があった。今の時期に赤芽柳があるのは珍しいと思った。長い一本だったので2本に切り、その両方を生かした。
三種類の花材を使って生けてみると足もとが物足りない感じがした。あとで白の竜胆と正面に黄色いガーベラを足した。これで落ち着いた感じになった。
皆さん写真を見てお分かりになるだろうか。赤芽柳の2本の枝に銀色に輝いている猫柳の芽があるのだが、見える?赤芽柳だから、猫柳になる芽は赤い皮を被っているのだが、その皮を二つだけ取ったのだ。そうすると中から銀色の猫柳が現れるのだ。これがアクセントになって花を引き立ててくれた。遊び心いっぱいの生け花ができた。満足度は高い。
写真撮影をする。商品の陳列棚と枯れた胡蝶蘭の鉢が気になるが、まあ、そこは見ないでください。
皆さんご唱和を。とってもかわいい、カンガルー、ポー!
10月18日(土) 華道編 8 ホトトギス ひまわり キキョウラン
ホトトギス:鳥のホトトギスは漢字で書くと時鳥や不如帰などと書く。歳時記では夏を代表する鳥となっている。
「聞きなし」という言葉をご存知であろうか。「聞きなし」とは、鳥や動物の鳴き声を人間の言葉や文字に置き換えて覚えやすくしたものである。例えば、ウグイスは「ホーホケキョ」、シジュウガラは「ツツピー、ツツピー」などである。ホトトギスは「テッペンカケタカ」または「特許許可局」が有名である。この「聞きなし」についてはまたいつか書くこともあろう。
今回は、鳥のホトトギスではなく、花のホトトギス。正式には時鳥草とか不如帰草という漢字をあててホトトギスソウ。しかし大抵はホトトギスと言っている。
今日、花屋に行くとこのホトトギスがあった。珍しい色と形なのですぐに目がいった。「あたしを使って」そう言っているようだ。しょうがない、生けてやるか、一つ花材が決まった。色が紫っぽいので黄色の花を探した。糸菊と向日葵がこっちを向いていた。糸菊が少し黄色がきつい。色の調和が良いと思った向日葵をチョイスした。これで二つが決まった。横に広がる草ものとしてキキョウランを選んだ。
丸型のデザインの指定花器を縦にして生けようと思った。初めての挑戦である。生ける剣山はとても小さいのだ。
先ず、ホトトギスと向日葵とキキョウラン、この三種類で生けてみた。どうも様にならない。殺風景な感じがするのだ。少し色を足すことを考えた。向日葵の黄色に合うのは濃い藍色の濃竜胆しかないと思い、竜胆を足した。もう少し足りない。先程外した糸菊を敗者復活戦のように生けてやった。するとボリュームもよくなり落ち着いた花となった。
先生に見てもらった。先生は竜胆を向日葵の後ろに持って来て、チラリと見えるように生けなおした。そして、短いキキョウランを後ろにも生けた。そうすると、さらに全体が秋らしい落ち着きのある花となった。
その写真が下の写真である。丸い曲線も生きてるよね。
皆さん、いかがでしょう。どうも、温かい拍手ありがとうございます。
10月25日(土) 華道編 9 サンザシ 白菊 黄菊
花屋に行くと、美しい紅葉と共に赤い実がいっぱい付いた枝物があった。名前が分からなかったから聞くと、「サンザシ」だった。ああ、これが「サンザシ」か。どこかで聞いたことがあるなあ。そうや、北原白秋の詩「この道」という詩に出てくる。最後の「山査子の枝も垂れてる」の「サンザシ」がこれなんだ。歌も聞こえてきた。親近感が湧いた。この枝を使うことにした。でも高い、一本550円もする。丁度言わせたKさんが「いっしょに使いませんか」と言ってくれたので助かった。二人で折半でこの枝を使うことにした。
今日の生け花は先週終わった時点から決めていた。池坊の指定花器を縦に使って、トリックアート的な生け花をする。そう決めていた。あまり多くの枝物は要らない。4本ぐらいの枝があれば何とかしのげると思った。
写真の指定花器を見てほしい。正面上に5㎝ぐらいな黒い壁があるが、あそこの内側に水がたまっていて、剣山もある。3㎝×5㎝ぐらいな容器になっているのだ。その下は空洞だ。今、下に2本の枝を入れているが、上にはもちろん通じていない。そこがまるで通じているようにトリックをかけるのだ。楽しいね。遊び心満点の生け花を試みたのだ。
どうです、皆さん、貫通しているように見える?見えるよね。ありがとう!
しかし、サンザシだけでは殺風景なので、白菊の小菊と黄色いスプレー菊を足もとにあしらって締めた。これで完成。今回も満足度の高い生け花となった。
先生は、おらが前に出していたサンザシの一枝を後ろに回し、密になり過ぎていた菊を減らして前面に押し出した形にした。それが下の写真である。
皆さん、いかがですか。トリックが分かりますか?
10月28日(火) 華道編 10 サンザシ 貝細工
いつも通り6時40分にベッドから起き出し味噌汁を作る。新聞を読みながら一人で朝餉。終わったころに妻が出てくる。7:30妻は登校班を見送る。おら家庭菜園へ出勤をしようとする。以下、おらと妻の会話。
「お父さん、花をもらっていい?」
「いいよ。どこに飾るんだ?」
「講演会があるのよ。演台に飾ったらいいんじゃないかなと思って。」
そう言って、妻はプランターの五色唐辛子と先日の華道教室の残りの花を見繕って戻ってきた。見ると、直径4センチぐらいのガラス瓶のふたを取った容器に無造作に花を入れている。花は外側へ大きく垂れている。だめだ、こりゃ。
「こんな瓶しかないんか?」
「ないのよ。」
「これじゃあ、花が外側へ垂れてしまってだめじゃろ。花の丈が高いんじゃ。」
「直してよ。」
「えっ?おら、今から畑に行くんじゃが。」
「直してよ。池坊習ってるんでしょ。」
痛い所をついてくる妻。こう言われたら生けないわけにはいかない、おら。先ず、一輪生けタイプの花瓶を持って来た。演題に適したきちんとした花瓶はこれぐらいしかなかったのだ。
「これに生けよう。」
「なにそれ?重たいでしょ。だめよ。荷物がいっぱいなんだから。」
「えっ?でも、これじゃあ瓶の口が広くてうまく花が決まらんのじゃ。」
「でも、これじゃあ、だめ。」
「もうええ、勝手にせえ、おら畑にいく。」
そうは言ったものの、池坊のプライドが後ろ髪を引く。じゃあ、あの瓶の中に何か入れて花を固定できるようにしよう。いいものはないか、倉庫に行くと、臙脂色の網があった。その端っこを切って瓶の中に入れることにした。
「何よ、その網?」
「これをな、瓶の中に入れて花を固定させるんよ。言わば、剣山の代わりや。」
妻は何も言わなかった。洗濯物を干しに行った。おらは生けた。使ったのは、サンザシ、白菊、五色唐辛子、貝細工、それから紫蘭の葉。水に浸かりそうな葉っぱはどんどん取った。そして最終的に写真のように生けた。(ちょっと曲がってしまったなあ。)
瓶の中に網を入れて花を固定する方法は、池坊を習っていなかったら考えつかなかっただろう。実際、ストローや細い針金をぐるぐる巻きにしたようなもの、プラスチックの紐のかたまりなどがある。まあ、固定できれば何でもいいわけだ。それにしてもサンザシはいい花材だなあ。気に入った。
「どうやって持って行くのよ?」
「手に持って行くんんじゃ。」
「花を抜いたら、私はよう生けんよ。」
「しょうがねえなあ。」
「ええか、こっちが正面やぞ。」
「馬鹿にしないでよ。それぐらい分かるわよ。」
「はいはい、分かりました。はい、どうぞ。」
「はいは1回!」
てな会話をして、なるべく花がくずれないように、持ちやすいようにナイロン袋に納めてやった。やさしい、おら。
皆さん、瓶の中に何か入れて花を固定する方法は役に立ちます。それを考えるのも楽しみの一つやね。使わないコップがあれば、ビー玉でもいいね。入れて花一輪の美しさを楽しんでみて下さい。
11月1日(土) 華道編 11 雲龍柳 貝細工
今日は何を生けるかな。どんな花が待ってくれているのかな。そういうことを考えながら庭に出ると、立派に育った五色唐辛子の花が目に入った。そうだ、この子を使って生けよう。枝を4・5本切ってバケツを探した。バケツの中には先日切った帝王貝細工が残っていた。帝王貝細工の切り花は長持ちがするということがこれで分かった。この二つの花を使うことにした。
使った花器は池坊の指定花器。それを縦に使った。写真では横長になっているが、初めは花器を縦に使った。写真の生け花は自宅に戻ってから生けたものである。
縦に長い感じを出したかったので、枝物を探した。カンガルーポーやニシキギやナナカマドなどの枝物があったが、雲龍柳を選んだ。
雲龍柳は、普通の柳とは違って、幹や枝がくねくねと曲がっているのだ。丁度龍が天に昇っていく様な枝ぶりなのだ。おら、この脇枝を4・5㎝残してズバズバ切って、人間様で言うと、手躍りをしているような感じにしてやったのだ。その枝を大中小、七五三のバランスに生けた。そして、帝王貝細工の葉を全部取り、左右に生けた。あとは足元にほったらかしに育てた五色唐辛子を色合いを考えて生けた。ほったらかしと言っても、去年一昨年と失敗。3年目の今年やっと大きく育ってくれたのだ。だからかわいいんだ。なかなか切ることができなかった。
先生に見てもらうと、足元の五色唐辛子が密すぎるとの指摘。やっぱりな、言われると思った。かわいくても切らんといけんのだ。まず、五色唐辛子をすっきりと生けなおされた。次は、左右に生けた帝王貝細工を左右ではなく、寄り添うように前後に生けた方がいいんじゃないということでそこを修正された。さらには、右に生けていた赤い唐辛子を左へ移動。最後に奥行を出すために、残っていた雲龍柳の枝を一枝奥に向かって生けられた。平面的になっていた雲龍柳を立体的に見せるために奥に一枝生けられたのだった。その生け花が写真である。皆さん、いかがでしょうか。
今日、先生は「意匠的」という言葉を使われた。「意匠」は趣向とか工夫したデザインのことである。おらは俳句に使ったことがあるので知っておったのだ。今回、雲龍柳の枝をバチバチ切って人の腕のように見せたのが「意匠的」だと言われたのである。反対は「自然的」。なるほど、よく分かる。
今日も、「意匠的」に生け花を楽しんだおらだった。
11月3日(月) 華道編 12 池坊 礼式生け
11月3日は文化の日だ。この日は晴れの日が多く特異日となっている。しかし、今日の朝は雷が鳴り雨が降っていた。そういう中、9時過ぎに文化会館に出向いていった。所属する社中の「礼式生け」の研修会があったからだ。着いたころには雨は上がっていた。
「礼式生け」は、「古くから行われていた神仏への献華(けんげ)や貴人の前で花を生ける場合の儀式や形式を取り入れたもの」だ。普通、生けた花を来客に披露することはあっても、花を生ける姿を人に見せることはしない。確かにそうだ。ところが、「礼式生け」は生けている姿を人に見せるのだ。その場合、無様な姿を曝すわけにはいかないわな。私は日頃から美しい姿勢で優雅な所作で花を生けていますよ、という風に見せるのだ。そのために色々な道具と厳粛な作法が生まれた。今日はその「礼式生け」の社中研修なのだ。
初めに池坊が出している「礼式生け」のDVDを観た。まあ、沢山の作法があるもんだ。訳が分からんようになるので流れについては割愛する。おら、6名の振り袖姿の若い女性の皆さんばかり見ていた。皆さん目つきが鋭かった。緊張されていたんでしょうね。
その後研修、おら、水差しを運んだり、花器を180度反転させたりした。優雅な所作を心がけたが、優雅にできていたかは分からない。多分出来ていたんじゃないかな。多分。手早く後始末をすることも学んだ。美しく優雅に生け手早く片付け、心がけたいものである。
今回は社中の親睦も兼ねていた。弁当やお茶を若手が用意し配っていたが、「みんな取りに来い!」でいいんじゃないかなと思ったりもした。おらは率先して手伝ったよ、もちろん。率先垂範のおらだもん。研修は午後もあったが、知人の能を見に行くことに決めていたので、食事後はイの一番に挨拶をして退出した。
同じ会館で姫柿の盆栽展をしていた。それも気になった。背丈80㎝ぐらいの盆栽で20年物と言っていた。まあ、好きでないと続けられへんわなあ。盆栽もやってみたかったなあ。でも、もう無理やろな。おらの細道。
知人の能に寄った。喜多流、観世流、宝生流の三流派合同の能楽祭であった。知人に聞くと、合同でないと人数がそろわないということであった。舞台に上がる演者の平均年齢は80前後か。後継者はなかなかいないということであった。
文化会館を出ると、日が差していた。流石に特異日の文化の日だと思った。
会館の空にUFOが来ていたので写真にとっておいた。
11月27日(木) 華道編 13 ガーベラ ユーカリ アイリス
11月22日(土)に華道教室に行った。今日はどんな花に会えるかな。楽しみである。
花屋の花用の冷蔵室を見ると、中心部が黒くて全体は真紅のガーベラが目に飛び込んできた。2本しか残っていない。よし、このガーベラを生かそうと思って確保した。
枝物は、ユーカリにした。池坊の指定花器の丸いデザインを生かすことにした。しかし、なかなか固定出来ない。枝先が重いと判断し先端部分の枝を切ると安定した。
真紅のガーベラには何が合うのか。青い色が欲しいと思い、アイリスと竜胆を手に取りガーベラと合わせてみる。アイリスの方が合うと判断した。
足元は、白か黄色で締めたかった。白の小菊か黄色のスプレー菊か、それとも淡い紫がかったスプレー菊か。合わせてみると、無難な線で白の小菊に決めた。
指定花器の左隅に剣山を置き、ユーカリを3本生けた。先ずユーカリ。次に真っすぐアイリスを生けた。なかなかいい感じである。自画自賛。そして、今日の主人公のガーベラを寄り添うように2本生けた。そして、足元を小菊であしらった。バッチリ、決まった。そう思った。
しかし、先生に見てもらうと、ちょっとこじんまりとしてるわね、ときた。これでは、花器の左側に剣山を持って来て生けた意図が感じられない。先生は、剣山を中央部分に持って行き、ユーカリの枝を広げ、作品が大きくなるように生けなおした。
そして、菊やユーカリを少し足して下記のような作品に仕上げていった。
確かに、おらが生けた時と比べて、作品に広がりがある。空間にゆとりを感じさせる作品となっている。左右のバランスもいい。
いつも思うのだが、ほんの少しの手直しでこうも違ってくるものか、そう思うおらだった。3週間ぶりの華道であったが、小春日和のいい天気の中、充分に充実した時間をいただいた。社中の女性と話が出来るのもいい。皆さんから、「気」をいただいたおらだった。
皆さん、どうですか?今日の生け花。
12月4日(木) 華道編 14 2回目の立花に挑戦 菊 アイリス タニワタリ等
11月30日に、池坊の研修会があった。挑戦したのは、9つの役枝による立花である。立花への挑戦は2回目である。1回目については『おらの細道2』の9月30日「華道編 5 立花 鶏頭」に掲載しているのでそちらも見てほしい。
今回は、記録性の文章となるので、華道に興味のない方は、内容的には面白くないと思う。写真だけでも見て楽しんでほしい。
使用した役枝は、真(しん)・請(うけ)・控枝(ひかえ)に菊(黄色)。副(そえ)・見越(みこし)にタニワタリ。正真(しょうしん)にアイリス。流枝(ながし)にアイリスの葉。胴(どう)にウーリーブッシュ。前置(まえおき)にゴッド。以上である。
1、先ず、中央やや後ろに立花棒を強く剣山に刺し込む。立花棒とは真の枝の添え木にする枝のことである。約22㎝の白木の丸枝。自然の枝に見せるため、緑のフローラテープを巻いた。
2、真を入れる。菊(黄色)3本の内、一番枝ぶりの良い枝を選んで真とした。真の高さは75㎝(指定花器の3倍の高さ)、その高さに合わせ切る。1センチほど長め(76㎝程)が良いと指導される。菊の葉を取る。後でも取れるので取り過ぎないこと。花器口より約20㎝の高さで陽方へ矯める。その20㎝の所にワイヤーを巻く。確か焼きの20番前後。U字形にして矯める部分にあてがい、その上を焼きの26番前後?でぐるぐる巻きにしていく。矯める部分は密に巻く。そして、巻いたワイヤーが見えないように緑のフローラテープで巻いていく。矯める部分の上下2~3㎝をペンチで柔らかくした後、ペンチをあてがい陽方へ矯める。そして、立花棒の真後ろに入れ込む。形を整え、立花棒にワイヤー30番?で固定する。この時ワイヤーの結び目が見えないように、背面に来るようにする。
ワイヤーの巻き方等、請・控枝の菊も同様である。
3、正真を入れる。立花棒の前に正真のアイリスを生ける。高さは38㎝。アイリスの包の向きを間違えず生ける。アイリスは真っすぐだったのですぐに生けられた。このアイリスも立花棒と固定させた。大勢に影響はないということであったが、アイリスの葉も一緒に固定してしまったのが反省点である。
4、請を入れる。菊(黄色)を、10㎝の高さの請の出から斜め奥へ向けて振り込む。生けるのは真の真横右。ワイヤーの巻き方など1に同じ。
5、副を入れる。タニワタリを入れる。副は、真を矯めた高さのすぐ下より左斜め後方へ振り込む。高さは、真の矯めた高さを目安に決める。余分な葉は工作鋏で自然な形にカットする。茎に沿って、焼きの20番?のワイヤーを矯める部分より10㎝ほど長くそわせる。26番?のワイヤーで矯める部分まで巻く。葉の部分にそわせたワイヤーは、サージカルテープで固定する。ペンチを使って矯める。真の真横左に入れ込む。
6、流枝を入れる。タニワタリを入れる。請の右斜めに入れ込み、流枝の出所から右へ降り出す。副と流枝のタニワタリは上下のなだらかな曲線を生かす。流枝の先端は少し上へ向けるとよい。ワイヤーは副と同様。
7、控枝を入れる。菊(黄色)を入れる。3本目の菊を控枝の出所より右斜め奥に振り出す。副のタニワタリと重ならないようにするとよい。ワイヤー等2と同様。
8、見越を入れる。アイリスの葉を入れる。真の右斜め後ろより右後方へ降り出す。
写真:9の胴、ウーリーブッシュを入れたところ。 次へ続く。
12月5日(金) 華道編 15 2回目の立花に挑戦 菊 アイリス タニワタリ等
9、胴を入れる。ウーリーブッシュを入れる。ワイヤーを巻くのが大変やった。矯める部分は密に。その他は疎でも可。陽方が後ろ、真の方を向くように矯める。ここ肝。
10、前置を入れる。ゴッドをほぼ直角に曲げる。2本。下が長く、上がやや短めに。茎にそわせてワイヤー20番?をそわせ28番?で巻く。ゴッドの葉は先端は3枚、他は2枚とする。それぞれの葉にワイヤーをそえサージカルテープで固定する。左右2枚ずつの葉は、正面から見て奥への角度を45度程度に整え、生き生きとなるように整える。←表現難し。
11、正真、胴、前置の先端が真っすぐになるように整える。正中線を整えるという意味。
12、全体のバランスを見て作品を完成させる。
製作時間は3時間強という所か。日ごろ使わない頭を使うので疲れるね。でも、呆け防止には丁度よいのかもしれない。
全体で60~70人かな。男はおら一人。『おらの細道2』の10月24日の健康編に、「女性からも気をいただく」ということを書いた。その言葉通り、女性たちから素晴らしい日本的な気をいただいたおらだった。もちろん、生けた花、作品、先生方からも気をいただいた充実した一日だった。
その作品の写真がこれ。正中線がちょっとずれてるなあ。置き方にもっと注意を払えばよかったな。
12月12日(金) 華道編 16 サンゴミズキ ガーベラ ヒペリカム
行けば、花屋はクリスマスモードになっていた。コチアというシルバーリーフやシルバーに化粧をされた雲龍柳があった。
さて、枝物のチョイスに困っていると、先生からのアドバイスがあった。サンゴミズキをシルバーリーフのコチアの組み合わせにするとどちらも映えるという。確かに重ねてみると、シルバーリーフの銀がサンゴミズキの赤に浮き立つ。決めた。
主人公の花はどうするか、赤か黄色か、迷ったが、花の色が瑞々しい黄色とピンクのガーベラをチョイスした。
そして、あしらいは、クリスマスらしく赤と緑のヒペリカムを使うことにした。
花器は、池坊自由花の指定花器を使用。その三角形のデザインを生かすことにした。
まず、サンゴミズキを生けた。右側を少し密にし、一枝左側に大きく振り出した。平面的にならぬよう、空間を作る意識でサンゴミズキの余分な枝を切っていった。
次に、シルバーリーフのコチア。サンゴミズキの前に、少し段違いにして生けた。
その前にガーベラを寄り添うようにして生ける。
そして、最後に赤と緑のヒペリカムをあしらいとしてガーベラの下に生けた。
先生に見てもらうと、サンゴミズキの生け方はよろしいとのことであった。が、ガーベラとシルバーリーフのコチアが平面的に見えるということであった。
そこで、先生は、左側のコチアを抜いて、少し短くして後ろに倒すように生けなおした。また、ピンクのガーベラを抜き、黄色のガーベラの前に来るように生けなおした。
見る間に、平面的であった生け花が立体的になった。びっくりである。
どうやら、おらの生け花は平面的になるらしい。立体的に、躍動感が出るように、ダイナミックに、左右に並べるより前後に、そういう観点が必要であるようだ。いい勉強をした。
皆さん、いかがでしょう?シルバーリーフのコチアが光ってますね。


